日本総合健診医学会第41回大会での発表

日本総合健診医学会第41回大会での発表

日本総合健診医学会第41回大会での発表

概要

会期 2013年1月25日(金)・26日(土)
場所 仙台トラストタワー
宮城県仙台市青葉区一番町1-9-1
主催 日本総合健診医学会

学会発表の内容

動脈硬化進展における危険因子の検討
– メタボリック症候群の役割 –

発表資料を見る(PDF形式 564KB)

動脈硬化進展における危険因子の検討- メタボリック症候群の役割 -

プロジェクトメンバー

メンバー(敬称略) 所属(発表当時)
井上 登志美(発表者) アムスニューオータニクリニック検査科
山田 眞 アムスニューオータニクリニック院長
寳學 英隆 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学
保健管理センター所長
三善 英知 大阪大学大学院医学系研究科教授
井上 清輝 アムスニューオータニクリニック放射線科
野中 義勝 アムスニューオータニクリニック放射線科
斉藤 育子 アムスニューオータニクリニック看護科
葉室 頼卓 医療法人城見会専務理事
小澤 靖 医療法人城見会理事長

研究の背景・目的

メタボリック・シンドローム(METsyn)は、動脈硬化性疾患の進展・発症を予防する上で重要な概念であるとされるが、既知の危険因子の重要性との対比など、その位置づけが不明な点も多い。

今回、腹部CTから計測した内臓脂肪面積(VFA)を用いた検討によりMETsynを定義し、また、他の危険因子などとの比較により、動脈硬化初期発現年代におけるMETsynの役割を明らかにすることを目的とした。

目的

対象・方法

2011年4月~2012年3月に来院した29,668例のうち、頸動脈超音波検査と腹部X線CTによるVFA測定を施行しえた、30-59歳、非服薬の連続1,049例(47.0±7.0歳:平均±SD、男性694例)。

  • 頸動脈エコー法によるIMT(内・中膜厚)測定
  • 腹部CTによるVFA測定
  • 動脈硬化危険因子の検索
  • メタボリック・シンドローム(METsyn)の評価
頸動脈エコー法によるIMT測定
  • 使用機種は、東芝SSA-660A。7.5MHzのプローブを用い、左右の頸動脈を評価した。
  • 左右の総頸動脈において、mean IMT、max IMTを計測し、mean IMTは左右の平均、max IMTは左右の大きい方を個人の代表値として用いた。
  • 早期動脈硬化研究会の診断基準を参考に、右表の診断基準により「肥厚」の有無を診断した。
内臓脂肪面積の計測
  • CTの機種は、東芝 Asteion super4を用いた。
  • Fat Scan ver.4.0(N2システム株式会社)を用い、臍レベルでのVFAを測定した。
  • また、VFA≧100cm2の例を「VFA100」とし、解析に供した。
対象・方法 対象・方法

動脈硬化危険因子とMETsyn

  • 年齢、性別、身長、体重、血圧値、血糖値、コレステロール値などの臨床パラメータを検索した。

以下の動脈硬化危険因子の合併を診断した。

  • 高血圧: SBP≧140mmHg、DBP≧90mmHg
  • 糖尿病: FBS≧126mg/dl、HbA1c (JDS) ≧6.1%
  • 脂質異常症: LDL≧140mg/dl、HDL<40mg/dl、TG≧150mg/dl
  • 喫煙: current smoker

METsynの検索

  • VFA ≧ 100cm2かつ、以下の2項目以上
  • SBP ≧ 130mmHg、DBP≧85mmHg (MET血圧異常)
  • FBS ≧ 110mg/dl (MET血糖異常)
  • TG ≧ 150mg/dl and/or HDL < 40mg/dl (MET脂質異常)
動脈硬化危険因子とMETsyn

結果

  • 動脈硬化危険因子の合併率は、高血圧9.2%、脂質異常症63.1%、糖尿病4.6%、喫煙17.3%であった。どれかの危険因子を有している例は71.0%であった。
  • mean IMTは、0.64±0.13(0.3-1.5)、max IMTは、0.74±0.21(0.4-2.8)であった。
  • 明らかなIMT肥厚を全体の3.2%に認めた。
結果

VFA、METsynに関して

  • VFAは、82.0 ± 42.3cm2 (平均±SD)であった。また、VFA100を30.1%に認めた。
  • MET血圧異常を18.7%、 MET脂質異常を27.5% 、MET血糖異常を10.3%に認めた。
  • METsynを80例(7.6%)に認めた。METsyn合併例では非合併例に比し、有意に各種危険因子合併率が高かった。
  • METsyn例では脂質異常を100%合併し、METsyn非合併例でも60.1%と高率に脂質異常を合併した。
VFA、METsynに関して METsynと動脈硬化重症度 IMT肥厚に寄与する因子 各種危険因子の有無とIMT肥厚合併率

結論

  • 高血圧などの確立された危険因子を加味した検討では、METsynは、IMT肥厚を説明する有意で独立した説明因子にはならなかった。
  • 現状のMETsynの定義により、重大な危険因子合併例を包含できなかった可能性がある。特にMET脂質異常にLDL高値例が含まれていないことの影響は大きいと考える。
  • VFA100自体はIMT肥厚の独立した危険因子であった。内臓肥満自体は重要な概念と考えられる。
  • LDL高値例の治療が十分になされていない。確立されている危険因子の管理が最も重要である。
  • METsynの考え方は重要であるが、その定義では拾いきれない例に対する管理に留意せねばならない。
結論

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