コラム

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2026.01.27

4.その他

血糖値が高めと指摘されたら?  ~血糖値を急上昇させない食べ方のコツ~

Contents目次

監修・執筆

監修: 医師 加藤 美貴(アムスランドマーククリニック勤務医)
執筆: 管理栄養士 小林 真紀子(アムスランドマーククリニック健康増進科)

はじめに

人間ドックや健診の結果、「血糖高値」や「糖尿病疑い」で定期検査や再検査を勧められていませんか?
血糖値が少し高めでも自覚症状が現れないため軽視されがちですが、高血糖は、体が発している重要なサインです。高血糖を指摘されたら、「自覚症状がないから大したことではない」と放置せず、血糖コントロールに取り組むことをおすすめします。

今回は、将来の健康を守るために知っておきたい血糖値についての知識と、今日からできる血糖値を急上昇させない食べ方のコツをお伝えします。

1. 血糖値とは

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を示す指標です。ブドウ糖は、生命活動を維持するために必要なエネルギー源であり、私たちの体に欠かせません。
通常、食事をすると血糖値が上昇し、それに応じて膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンの働きでブドウ糖が細胞に取り込まれることで、血糖値は一定範囲に保たれます。

日本人は「血糖値」が上がりやすい?

実は、日本人は欧米人に比べてインスリンを分泌する能力が低いという体質を持っている方もいます。そのため、内臓脂肪の蓄積や加齢、食生活の乱れによって、肥満でなくても血糖値が上がりやすいという特徴があります。

見逃されやすい「血糖値スパイク」

空腹時の血糖値が正常でも、食後に血糖値が急上昇・急降下する「血糖値スパイク」には注意が必要です。食後の強い眠気、倦怠感、集中力の低下などは、この急激な変動が原因かもしれません。この変動の繰り返しが、血管を傷つけ、動脈硬化を進行させる要因になると言われています。

2. 放置が怖い!糖尿病の合併症の頭文字「しめじ」・「えのき」・「こがに」

高血糖が長く続くと、合併症のリスクが高まります。全身の血管がダメージを受け、深刻な障害を引き起こします。覚えやすい合併症の頭文字で、リスクを確認してみてください。

  • 細い血管の障害 【しめじ】

    • 【し】神経障害:足のしびれや痛み、怪我に気づかない感覚麻痺。
    • 【め】網膜症:目の血管がもろくなり、失明の原因になることもあります。
    • 【じ】腎症:腎臓の機能が低下し、進行すると透析が必要になります。
  • 太い血管の障害 【えのき】

    • 【え】壊疽(えそ):足の血流が悪くなり、最悪の場合、切断を余儀なくされます。
    • 【の】脳梗塞:脳の血管が詰まり、麻痺などの後遺症が発生するリスクが高まります。
    • 【き】虚血性心疾患:心筋梗塞や狭心症など、命に関わる心臓病。

さらに、最近の研究では「こ・が・に(骨粗鬆症・がん・認知症)」の発症リスクも高まることが分かっています。

3. 今日から実践!血糖値の急上昇を防ぐ食べ方のコツ


血糖コントロールというと、厳格な糖質制限をイメージしがちですが、大切なのは「過度な制限」ではなく「継続できる工夫」です。ご自身にとっての必要なエネルギー量を知り、その中でバランスの取れた食事を摂ることが大切ですが、それと同じくらい「どう食べるか」も重要です。

① 食べる順番を変える:カーボ・ラスト(主食を最後に食べる)
同じ内容の食事でも、食べる順番を変えるだけで血糖値の上昇を緩やかにできます。
1.副菜(野菜・海藻・きのこ):食物繊維が糖の吸収を抑制します。
2.主菜(肉・魚・卵・大豆製品):たんぱく質や脂質が消化管ホルモンの分泌を促し、胃の動きを緩やかにすることで血糖値の上昇を抑えます。
3.主食(ご飯・パン・麺):最後に主食を食べることで血糖値の急上昇を防ぎます。
★ポイント:副菜や主菜を一口食べてすぐ主食ではなく、主食に辿り着くまで15分以上かけるのが理想です。

② 「ゆっくり・よく噛む」が特効薬
早食いは血糖値を一気に上げ、肥満の元にもなります。
・20分以上かけて食べる。
・会話を楽しみ、一口ごとに箸を置く習慣を。

③「3食のタイミング」を整える
食事の内容と同じくらい重要なのが、3食を摂るタイミングを一定にすることです。
食事と食事の間が空き過ぎると、次の食事で血糖値の急上昇が起きやすくなります。朝8時までに朝食を摂り、夕食を20時までに食べ終え、夕食から翌朝の朝食まで11~12時間あけることが理想です。

朝食:朝食を抜くと、昼食後の血糖値が跳ね上がりやすくなります。朝食でたんぱく質(納豆や卵)や食物繊維が多い食品(玄米やライ麦パン、野菜、海藻、きのこ)をしっかり摂ると、その時だけでなく、昼食後の血糖値上昇まで抑えられる「セカンドミール効果」が期待できます。

昼食:ドカ食いを防ぐことで、午後のパフォーマンスを維持できます。仕事で忙しい昼食は早食いになりがちですが、外食なら丼物や麺類などの単品ではなく、「定食」を選び、おかずから食べるのが鉄則です。

夕食:夜遅い食事になってしまう場合は、分食がおすすめです。18時頃におにぎりやサンドイッチとトマトジュース、その後の夜遅い食事では、油脂を控えた消化のよいおかずを中心に摂るとよいでしょう。

4. あなたは大丈夫?糖尿病の診断基準

糖尿病は、糖質の過剰摂取やカロリーオーバーによるものだけでなく、インスリンという血糖を下げるホルモンの量が不足したり、働きが悪くなったりすることで、血液中のブドウ糖が慢性的に過剰になっている状態でも起こります。ただし、平常時、脳はブドウ糖しか利用することができないので、血糖値が低すぎないよう正常値内での管理が大切です。
以下の①~④いずれかに当てはまると「糖尿病型」と判定されます。ご自身の健診結果と照らし合わせてみてください。

①空腹時血糖値 126mg/dL 以上
②経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値 200mg/dL以上
③随時血糖値(食事の時間に関係なく測定した血糖値) 200mg/dL以上
④HbA1c(過去の1~2か月間の平均血糖値を反映) 6.5%以上 

①~③のいずれかに加え、④の両方が基準を満たす場合は1回の検査だけで「糖尿病」と診断されます。
「1日の適正カロリー」や「食事のバランス」など、具体的なメニューについては、過去のコラム及び以下の資料をご覧ください。

過去のコラム:エネルギー収支を理解すれば太らない!1日の適正カロリー計算法
過去のコラム:何をどれだけ食べればいいの?バランスのよい食事のとり方
さらに詳しく学びたい方へ:日本糖尿病学会「健康食スタートブック」(外部サイト)

なお、食事のバランスだけでなく、運動不足にも注意が必要ですので、次回のコラムでお伝えします。