コラム

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2023.03.21

1.食事

太りにくい間食のとり方

Contents目次

監修・執筆

監修:医師 吉野 初音(アムス丸の内パレスビルクリニック勤務医)
執筆:管理栄養士 金 愛梨(アムス丸の内パレスビルクリニック健康増進科)

間食はよくないの?

3食の食事に加え、お菓子や菓子パンなど、食事以外で間食をすると、エネルギーの過剰摂取となり、肥満の原因となります。では、間食は全くしてはいけないのでしょうか。そうとは限りません。

「間食=太る」と考えるのではなく、不足しがちな栄養素を補えるという点で、間食に期待される新たな役割も考えられています。

今回は、太りにくいおやつや、間食の上手なとり方についてご紹介します。

間食をしたくなる原因

「お腹が空いたときはお菓子をつまんでしまいます」
「食後は必ずデザートを食べます」

との言葉をよく聞きます。これはほとんどの場合、食事量の不足が原因です。

朝食を抜いたり、昼食や夕食は炭水化物を減らしたりしていませんか?

食事前にお腹が空く、食後すぐにデザートが食べられるのであれば、それは食事の量が足りていないということになります。

お菓子を食べるときに、その分の食事を減らすと、1日のカロリーは調整できます。

ですが、食事とお菓子でカロリーは置き換えられても、中身の栄養素は置き換えられません。この食べ方が続くと、カロリーはとり過ぎていなくても、お腹周りに脂肪を蓄積しやすくなります。

お菓子は糖質と脂質が中心で、たんぱく質・ビタミン・ミネラルはほとんどありません。そのため、食事とお菓子は切り離して考えましょう。

お菓子の分のカロリー収支を合わせるために、ご飯やおかずを抜くのはNGです。食事の量を減らして間食が増えると、かえって太りやすくなるだけでなく、体調も乱れます。

強烈な空腹状態を避けるためにも、まずは3食しっかり食べることをおすすめします。

甘いものに含まれる砂糖

お菓子の主な材料は、小麦粉や砂糖などの糖質です。

食物繊維の少ない糖質食品をとると、一気に血糖値が上がります。血糖値が上がると、体は一度に全ての糖質をエネルギーとして活用できず、余剰分は脂肪として溜め込むことになります。

甘いものに含まれる砂糖をスティックシュガーに置き換えると、以下のようになります。

※表示数値は目安です ※スティックシュガー1本3g

コーラ(1杯200ml)

総エネルギー:92kcal
砂糖:22.8g
スティックシュガー:7本+3/5本

微糖コーヒー(1缶185ml)

総エネルギー:39kcal
砂糖:11.6g
スティックシュガー:3本+4/5本

キャラメル(4粒20g)

総エネルギー:85kcal
砂糖:12.4g
スティックシュガー:約4本

ショートケーキ(1個100g)

総エネルギー:340kcal
砂糖:29g
スティックシュガー:9本+3/5本

大福(1個70g)

総エネルギー:165kcal
砂糖:11.2g
スティックシュガー:3本+3/5本

あんぱん(1個80g)

総エネルギー:213kcal
砂糖:23.2g
スティックシュガー:7本+3/5本

普段口にする甘いものには、こんなにも砂糖が入っています。

いわゆる美容ドリンクや栄養ドリンク・乳酸菌飲料など、美容や健康を目的とした飲料も、ビタミンやミネラル・乳酸菌などの栄養成分と同時に、糖質もとっていることを忘れないでください。白砂糖よりは黒砂糖、白米よりは玄米・全粒粉など、白い糖質より消化に時間のかかる茶色い糖質をとるのがよいでしょう。

野菜ジュースでも、果汁の割合が高いものは糖質が多く含まれています。仕事中や寝る前に、健康や美容のために飲んでいるドリンクがあれば、栄養成分表示を見直してみることをおすすめします。

炭酸栄養ドリンクの栄養成分表示例
栄養成分表示(100mlあたり)
・エネルギー:66kcal
・たんぱく質:0g
・脂質:0g
・炭水化物:15.8g
・食塩相当量:0g

飲料では、炭水化物量がほぼ糖質量なので、そのまま砂糖に換算できます。100ml当たりの炭水化物量が15.8gなら、1本120mlでスティックシュガーおよそ6本分となります。

太りにくい間食のとり方とは

1.間食は1日200kcalまでに

甘いものには砂糖がたくさん入っていることがわかりましたが、とはいえ「お菓子を一切禁止」ということではありません。

お菓子は心の栄養なので、全体のバランスを乱さない範囲で楽しみましょう。間食は1日200kcalを目安にとるとよいです。

洋菓子だとプリン1個・シュークリーム1個がそれぞれ200kcal程度です。

340kcalのショートケーキなどカロリーが比較的高めなおやつを楽しみたいときは、階段の昇り降りをしたり、ひと駅分あるいたり、からだをこまめに動かして消費カロリーを増やすことです。

食べたらしっかり動くことを習慣にしましょう。

2.袋菓子に要注意

袋に入っているお菓子は、開けるとつい食べ過ぎてしまいます。お菓子を一度にまとめて食べると、体脂肪を増やしやすく、ビタミンを消耗して疲れの原因にもなります。

食べ過ぎを防ぐ工夫

・個包装などの小さいサイズを選ぶ
・食べる分だけ小皿にとる
・買い置きをしないで、食べるときに買いに行く
・ながら食いをやめる
・よくかんでゆっくり食べる

袋のまま食べると、「気が付いたら全部食べていた」ということにもなりかねません。食べる量を上手にコントロールしましょう。

3.食物繊維の多いものを食べる

食物繊維の少ない糖質を摂ると、小腸からの糖分の吸収が速く、血糖値が上がりやすくなります。

血糖値が大幅に上がると、それを下げるためにインスリンも大量に分泌されます。すると、今度は血糖値が急降下します。体は糖が足りなくなったと感じ、糖を欲するようになります。

これが、食物繊維の少ない糖をとればとるほど、糖が無性に欲しくなるメカニズムです。

太りにくいおやつには、食物繊維の多い糖質を含むものをとるのがおすすめです。

食物繊維の多いおやつ

・甘栗
・焼き芋
・ナッツ
・果物
・豆乳
・ごまや海苔巻きせんべいなど

ほか、無糖ヨーグルト・チーズ・小魚などは、不足しがちなカルシウムを補うことができます。

お菓子で脂肪や糖分をとるより、必要な栄養素をとることで、からだの中から変わって太りにくくなります。

4.おやつは明るいうちに楽しみましょう

同じ食べ物でも、食べる時間によって太りやすさが違います。夕方以降は消費エネルギー量が少ないので、夜に間食をすると体脂肪として蓄積されやすくなります。

一番脂肪に変わりにくい時間帯は、15時頃です。

体脂肪の量を調整してくれるレプチンという物質が、1日の中で一番少ないのは午後15~16時頃です。「3時のおやつ」は理にかなっているのです。

夕食後のデザートは、昼に置き換えるようにしましょう。

まとめ

間食が習慣になっていることはありませんか?まず食べる前に「どうして食べたいか」自分に問いましょう。

どうしても食べたいときは、食べる量・内容・時間を意識してみてください。食事や栄養バランスが乱れがちな人は、間食をとることで必要な栄養素を補うことができます。

血糖値の上昇や脂肪の蓄積を抑えるためにも、間食を上手に選んで、生活習慣病を予防しましょう。