コラム

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2022.03.23

1.食事

目指せサイズダウン!噛むカム!シェイプアップ!

Contents目次

監修・執筆

監修:医師 金藤 昌子(アムスニューオータニクリニック勤務医)
執筆:保健師 山内 真由美(アムスニューオータニクリニック健康増進科)

よく噛んで食事することで消費エネルギー量が増加

よく噛むと消費エネルギーが増える

食事をした後は、安静にしていても栄養素の消化・吸収のために内臓が活発にエネルギーを消費します。これは「食事誘発性体熱産生」と呼ばれる現象です。そして、食べ方を変えることで、消費エネルギー量が増えることをご存知ですか?

東京工業大学の2014年度の研究では、急いで食べると食後90分間のエネルギー消費量は体重1kg当り平均7calですが、よく噛んで食べた時には180calのエネルギーを消費します。食事を噛む回数が増えるほど、胃や小腸に血液を送る血流量が増加して消化活動が活発になり、エネルギー消費も大きくなるようです。

その差は年間約11,000kcal

ゆっくりよく噛むことを1年間続けると、早く食べた場合に比べ、食事誘発性体熱産生には約11,000kcalの差が生じます。

これは体脂肪に換算すると、体重60kgの人なら1.5㎏分のエネルギーを多く消費したことになります。有効に利用することをオススメいたします。

よく噛んで、ゆっくり食べると少量で満腹感

食べる速度が速い人は遅い人と比べて2倍肥満になりやすいと言われています。その理由として、食べ物を噛む回数が不足していることが挙げられます。

よく噛むと食欲を抑えてくれる

食べ物を口に入れ噛み砕く刺激によって脳内の「神経ヒスタミン」という物質が分泌されます。

この神経ヒスタミンは、食事で増してくるブドウ糖などの満腹信号よりも、早く満腹中枢を刺激し、
「おなかがいっぱいだぞ」という信号を送り込むので、食欲を抑え、食べすぎを抑えることができます。

よく噛むと内臓脂肪を分解してくれる

神経ヒスタミンは、満腹中枢から交感神経を介して脂肪、特に内臓脂肪を燃焼するよう働きかける性質もあります。

また、脂肪の合成も抑制します。つまり、噛むことが内臓脂肪の減少に大きく役立つのです。

今日から簡単に実行できる3つの方法

今日からできる

方法1.プラス5回噛むこと

日本肥満学会の「肥満治療ガイドライン」でも、「咀嚼法」が行動療法のひとつとして明記されていて1回20~30回以上かむことが推奨されています。

「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」と心で3回唱えながら食べると30回です。まずは、いつもより『プラス5回』噛むことから始めても良いでしょう。

方法2.食事時間をかけにくい料理は副菜に噛みごたえのある食材を用いる

柔らかふわふわ食感のオムライス、ハンバーグやパン…これらの食事を「つい食べ過ぎてしまった」というお話をよく聞きます。また、食事時間をかけにくい麺類、チャーハン、カレー、丼物も食べ過ぎてしまいがちです。

こうしたメニューを食べる時には、副菜として噛み応えがある食材(後述)を、きんぴらやナムル、マリネ、ピクルス、汁物などにして一緒に食べるか、のっけ盛りにすることで、よく噛んでゆっくり食べることができます。

また、調理の際には食材を大き目に切り硬めに茹でると、自然に噛む回数も増えますので、そのあたりを工夫するのも一つです。

噛み応えがある食材例

硬いもの ナッツ類、ごま、煎り大豆など
繊維が多く、よく噛まないと飲み込めないもの 根菜類、緑黄色野菜、乾物類
弾力性があり、噛み切りにくい食材 干ししいたけ、こんにゃく、エリンギなど

方法3.ひと口の量を少なくして、ひと口運ぶごとに箸置きを使う

噛みごたえのある食材
大食い自慢の方のお話では、「かき込み系」の麻婆豆腐やカレーなどは飲み物と言い切る方もいます。

嚙むことを省略すると、思った以上に大量に食べることができます。大食いは、ひと口量を大きくし、よくかまずに流し込み、間を置かず次から次へ口に…が秘訣です。食べ過ぎない為には、逆の方法を実行しましょう。

食べ物をお箸で取る時には、箸先3cm以上は汚さないようにし、ひと口をいつもより小さくおちょぼ口で食べます。ひとくちで噛む回数が変わらなくても、ひとくちの量を減らせば噛む回数が増え、ゆっくり食べることにつながります。

口に食べものが入っている間は、「箸置き」にお箸を置いてください。お箸を持っていると、次の食べものを口に入れようとしてしまいます。

よく噛み、ゆっくり、食感や食材本来の味を味わって食べることで、薄味や少量でも満足感を得やすくなります。いつもより食事をもっと楽しんでください。

まとめ

よく噛んでゆっくり食事をすることは、エネルギー摂取量を抑えることと、エネルギー消費量アップの2つの効果が期待できます。

口周りの筋肉を正しく動かしてよく噛んで飲み込むだけで、マスク生活で動かしにくい口元全体の筋肉を鍛えることができ、あごや頬のたるみ防止にもつながります。

「噛むカム!シェイプアップ!」で美しくスマートに若返りましょう。